日本は理想主義的安全保障政策から脱却すべき 「国際政治」

 本書は国際社会での国家間での現象を細かく研究したものであり国際政治を学ぶにあったって基礎的な文献だった。そもそも私が数ある課題図書の候補から本書を選んだのには国際社会に対する洞察力を培いたいという理由だった。本書の他にも候補となる本がいくつかあったため、本書を買うことを迷うこともあった。それは本書が昭和41年、西暦でいうと1966年出版ととても古い書籍であったため、現在の政治理論と相容れないものかもしれないと私自身懸念したためだ。しかし実際には現在の政治理論と通ずるところが多く、国際社会を洞察する上で必要な資料だと感じた。どい愚者は経験から学び、賢者は歴史を学ぶ」とドイツ帝国を築いた宰相ビスマルクの言葉があるが、国際政治においても同様のことを言えるでしょう。現在を生きる私たちは今の国際政治だけを眺めるだけではなく、過去の歴史から学ぶことが必要であることを実感した。

 本書で取り上げられていた様々なトピックの中で軍備縮小と軍備規制による平和の実現の取り組みの理論について興味深く感じた。そもそも軍備縮小とは各国が段階的に軍事力を減らしていくこと。最終的には軍備を廃止することの取り組みのことである。では、軍備規制とは軍備縮小を目指すもので理想主義的かつ偽善的な思想ではない。また、実際に実行不可能な軍備縮小と比べてみると各国が現実的に軍備を段階的に制限していく過程である。軍備縮小においては面白いたとえ話があった。お互いに好意を持っていない二人の人間が、それぞれピストルを持って部屋に閉じ込められたとする。仮に自分がその一人だとして、敵対するもう一人と同時にピストルを部屋の窓から投げたのならば、この緊迫した状況は安定する。しかし、自分がピストルを投げるにしても相手が約束を破り、投げたふりをされたら危険だ。また相手はもう一丁ピストルを隠し持っているのかもしれない。逆に相手があなたに対してもそのような懸念をしているのである。これらは完全的な平和を目指した結果、さらに恐怖状況を生み出すものとなったといえよう。軍備規制は軍備を廃止することはないものの、常備軍を認めることとなる。そのため、核兵器による抑止力で平和を保ち続けるが、核兵器を用いた世界を滅亡に追いやるような戦争は回避される。それによって平和を維持することはできたが、不安を帯びた平和であろう。

 現在日本は核兵器や常備軍を保持しておらず、約70年間平和を維持してきた。しかし、中国の台頭による勢力均衡のバランスが崩れていることから、変化するべきであると思う。今まではアメリカの軍備の傘に守られてきたが、今後守ってくれるかわからない。自国のことはできる限り、他国に依存せずに対処する。今まで理想主義的な軍備廃止を一貫していた日本だが、今後自国の平和のためにも核兵器や常備軍の保持について検討するべきだ。

ウイッスル

フリーライター 自称ジャーナリス ト レポートの代行、アドバイス行ってます。

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